映画「聖の青春」見て来ました。いや、楽しみにして行ったのですが、なかなか
の良作でありました。なにしろ主人公の人生が凄まじいものですので、映画も
当然面白かったわけです。主人公、村山聖はネフローゼを持病として持って生ま
れてきてしまいます。長い入院生活を送る上で父親が持って来たのが将棋盤でし
た。
今でこそ将棋はあまり人気がありませんが、私が中学の頃はみんなやってたもの
でした。さて、村山少年はぐんぐん棋力をつけて、ついには奨励会に入会するま
でになり、関西の怪童と謳われて名声を馳せるのですが、彼の日常はものすごい
オタク青年だったのです。少女漫画を愛好し、自室は汚部屋。毎日ラーメンと牛
丼とシュークリームで暮らし、そのメーカーにも一家言持っています。
この役の為に主演の松山ケンイチは26kgも体重を増やして挑んだそうです。役者
根性丸出しな話です。オタクでしかも口が悪く酒癖も悪い彼ですが、なぜか師匠
と友達に恵まれています。師匠をリリー・フランキー、聖の友達を染谷翔太と柄
本時生が巧みに演じます。実にいい味を出しています。そんな聖の前に空前の天
才棋士、羽生善治が立ちはだかります。
また東出昌大がこの人をうまく演じます。決して圧倒的な強さの棋士ではありま
せん。対局中は頭をぼりぼり掻き、苦悩しながら将棋を打ち、時に聖に負け、
「あなたに負けたのはもう死んでしまいたいくらい悔しかった」と述懐するわけ
です。羽生に勝ちたい聖は上京し、しばしば羽生と対戦しますが、生涯成績6勝
8敗とは、ネフローゼに加えて膀胱癌にも悩まされ、手術も受け、なおかつ野放
図な生活を続けてしばしば路上で昏倒していた聖にとっては素晴らしい成績だっ
たのではないでしょうか?
体調の悪い中、聖が追い求めていた名人位を羽生と争う最後の一戦に聖は望みま
す。結末はどなたもご存知だと思いますので、ここでは申し上げませんが、29歳
で儚く散った天才棋士の毎日は、意外にもいろんな人物に支えられて、なかなか
意義深いものとして描かれています。日本映画久々の良作だったと思いました。
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