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乃南アサ作「女刑事音道貴子 凍える牙」を読みました。

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乃南アサ作「女刑事音道貴子 凍える牙」を読みました。乃南先生は、この作品で直木賞を受賞されています。ちなみにその時の対抗馬は、かの浅田次郎作「蒼穹の昴」だったそうです。

深夜のファミリーレストランで突然男の身体に火が付きます。遺体には獣の牙の跡が残されていました。警視庁機動捜査隊の音道貴子は、相棒となった中年刑事、滝沢と捜査に当たります。

音道はいろんなものと戦わなくてはいけません。男系社会の典型、警察に勤務して苦労している上に、夫とは離婚しています。実家の母は音道に辛く当たり、末の妹は不倫の関係にあり、音道と同居を希望しますが、音道は断ります。滝沢は滝沢で、妻に家出され、これも離婚していますが、お互いにそのことを一言も言いません。滝沢は女刑事などごめんだと思っており、それがよくわかる音道は黙って滝沢に従っています。

発火死体の捜査が滞る中、ついに男の正体が露見します。音道たちは、彼がデートクラブを経営していたことを突き止め、やや捜査が進展するかに見えた時、全く別の場所で別の殺人事件が発生します。なんと野犬のようなものに男がかみ殺されるのです。その事件は更に進展し、捜査本部はこちらに注力し始めます。音道たちは、その野犬の正体がどうもウルフドッグという犬種ではないかと想像し始めます。捜査が進む中、次第に手掛かりが集まり、ついに事件の全貌が見えかかって来始めます。得意のバイクに跨った音道は、ウルフドッグを追い詰めるべく走り始めます。

単なるミステリでは直木賞は取れません。おそらく相容れなかった音道と滝沢が、捜査を続ける上で、次第に互いの力を認め、うまがあってくるあたりを丁寧に描いたところが評価されたのだと思います。ここから物語はすさまじいテンポで流れ始めます。バイクアクションも登場し、ウルフドッグという犬の独特のたたずまいが美しく描かれます。大変面白かったです。おすすめです。


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by rodolfo1 | 2017-09-30 02:14 | 小説 | Comments(0)
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