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いとうせいこう「想像ラジオ」ネタバレあり。

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いとうせいこう先生の想像ラジオを読みました。いとう先生は、小説家というよ
りむしろ放送業界の方、というイメージでしたので、小説の前半は、やれやれ業
界人が、小説の世界に首を突っ込んで、自分のテリトリーの話をぺらぺらと披露
しておられるわなあという印象で読み進めていたのですが。

なんとこの主人公は、実は東北大震災の津波に襲われて、高い木の上で絶命して
いた、という設定だったのですね。その津波に襲われる際の迫真の描写に思わず
怖気が立ちました。

その主人公が、なぜか、想像上のラジオを使ってDJを行うという物語です。数々
の亡くなられた方々が、その思いを、DJへの電話やメール、という形でそのDJ
を通じて想像ラジオで発信されます。DJのかたわらに寄り添うハクセキレイはま
た、別の悲しみを道ならぬ恋人と、彼の書くものを通じて共有している。そし
て、その鳥が去る頃、DJにも平安と安らぎが訪れる。深い深い物語です。

時折死者の言葉が生者にも共有されることがあるのだ、という事柄が繰り返し出
てきます。重いテーマではありますが、文体は平易で読みやすいです。
なかなかの小説。おすすめだと思います。




by rodolfo1 | 2014-04-23 06:11 | 小説 | Comments(0)
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