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伊藤計劃・円城塔作「屍者の帝国」を読みました。

伊藤計劃・円城塔作「屍者の帝国」を読みました。
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原作者である伊藤 計劃は、新進気鋭のSF作家でしたが、2007年のデビュー以後2年目に肺がんのため亡くなりました。彼の残した原稿用紙にして30枚ほどの試し書きと、A4用紙一枚ほどの企画用プロット、集め始めた資料が残され、この小説は中断されました。それを引き継いだのが、盟友にして芥川賞作家、円城塔であります。彼らはこの作品で、第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門を受賞しました。

円城先生の作品は、数学と幾何を下敷きとした、難解な作風で知られていますが、私は嫌いで無いです。どこかにユーモラスな部分があり、そう望めばエンターテインメントを書かれる資質はお持ちと見ていました。この作品は、彼にしてはずいぶんわかりやすいです。小説の主題は屍者であります。フランケンシュタイン博士によって開発された屍者技術に基づくスチームパンク小説となっています。屍者にプログラムをインストールし、生者が使役する世界を描いています。本書は、いわゆる歴史改変ものです。

既存の歴史の出来事をどこかで変更し、ありえたかもしれない歴史を展開するものです。従って、よく知った名前が大挙して登場します。それが、この物語を人に親しみやすくするのに一役買っています。物語は英国から始まり、インド、アフガニスタン、日本など世界中を経巡り、再びロンドンに帰還して完結するスケールの大きい、巨大な世界観を持つ小説です。一読をおすすめする一冊です。


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by rodolfo1 | 2015-02-08 02:26 | 小説 | Comments(0)
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