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ジョセフィン・テイ作、時の娘を読みました。

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ジョセフィン・テイ作、時の娘を読みました。
表題の時の娘とは、真理は時の娘、という古い諺から来ています。
甥殺しで有名で、シェイクスピアの戯曲にも悪人として登場した暴虐王
リチャード三世を巡る寝台探偵物語です。
足を怪我して入院中だった、スコットランドヤードの名警部グラントは
病院で死ぬほど退屈していました。犯罪者を顔で見分ける特技を持つ彼は
あるとき女友達に、何人かの人物の写真を貰い、その中の一枚が、リチャード
三世のものでした。その顔から連想された人物は、悪逆非道の王ではなく、
むしろ裁判官のような、苦しみに満ちた男の顔という印象を与えました。
それからグラント警部は、犯罪捜査の手法を駆使して、いろいろな歴史資料を
あたり、協力者としてアメリカ人青年を得て、驚愕の事実にたどりつきます。
折しもリチャード三世の骨が、イギリスで発見され、その死にざまやDNA
鑑定が行われるなど、啓示的な事件も起りました。歴史書でもありながら、
古典的な探偵小説の形態を取る珍しい小説です。小説の中では、いくつもの
歴史的なエピソードが、実は何の根拠もない話だと暴かれます。大変
興味深い名作です。




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by rodolfo1 | 2015-02-23 02:34 | 小説 | Comments(0)
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