米原万里作「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読みました。

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米原万里作「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読みました。前作、
オリガ・モリソヴナの反語法」の後日譚とも言える作品です。在チェコ、
ソビエト校に通う日本人少女マリと、クラスメートだったリッツァ、アー
ニャ、ヤスミンカという三人の少女との交流を描く作品です。

リッツァはギリシャ人です。軍政ギリシャからチェコに避難して来ている
彼女たちは、いつもギリシャに帰ることを夢みていましたが、ついに果た
せず、今は医者としてなんとドイツで働いています。

アーニャは本来ルーマニア人です。忠実な共産主義者であった彼女はまた、
病的な嘘つきでもあります。それには彼女の出自がからんでいます。彼女
は長じていつの間にか転向し、結婚してイギリスで働いています。彼女の
家族は、時の政権を巡って分断されており、実はユダヤを出自に持ってい
た事からさまざまに葛藤していたのです。

ヤスミンカは今のセルビア共和国から来ました。微妙にソビエトと一線を
画する政権の性質からベオグラードに戻るのですが。。。。

米原先生のこのシリーズは、小説というよりノンフィクションに近いと思い
ます。しかし小説の最後に訪れるのは、マリの甘い懐旧を機関車で轢断する
ような恐ろしい歴史上の事実です。事実は小説よりも奇なり、と言う言葉を
体現する凡百の小説を遥かに凌駕する圧倒的な情報量の作品であったと思いました。

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by rodolfo1 | 2016-10-12 02:37 | 小説 | Comments(0)
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