桐野夏生作「猿の見る夢」を読みました。

桐野夏生作「猿の見る夢」を読みました。
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あまり桐野先生の著作は知りませんので、前作「バラカ」を読んで、放射能厨
の先生かと思っていましたら、ちゃんとした小説を書く先生なのだと本作で知
りました。

主人公薄井正明は、女性衣料の製造小売業「Olive」の財務担当取締役です。東
京CSU銀行から社長に引き抜かれ、出向して来ます。都落ち人事であると腐っ
ていた薄井でありましたが、あにはからんや会社は急成長を遂げ、社長の織部
は80歳の高齢で、娘婿の社長福原との仲が悪いことから、場合によっては薄井
に社長の目もあるのかと思われる状況で仕事をしています。

この薄井氏はまさに猿が見るような夢ばかり見ています。外に女がいるのです
が、たった月3万円のお手当で家へ上がりこんでは女の金で飲み食いしていま
す。その頃美人の社長秘書に機密漏洩問題が持ち上がり、社長のセクハラ事案
とも重なって薄井は活躍するのですが、あわよくば社長秘書と出来て今の女と
は手を切ろうと目論見ます。

そうした中、薄井の妻は、あやしげな夢占い師を家に上げてご託宣を聞こうと
しています。それが気に入らない薄井ですが、占い師は、なにかと言えば薄井
家に関わり合います。折から薄井の母が亡くなり、実家と仲の悪い薄井家は、
母親の面倒を見ていた妹夫婦と対立します。

そうした軋轢にかかわるように占い師は薄井の家に入り込み、薄井自身ばかり
か、女の家にまで上がり込みます。この後、薄井氏の人生は、まさに悪夢のよ
うに崩壊していくのですが。。。。

大した力量で書かれた小説で、終わりまで一気に読ませます。扱っている題材
があまりにせこくて爽快感はありませんが、小説としての出来は大変よかった
と思いました。読む本が無い時には良い小説だろうと思います。

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by rodolfo1 | 2017-03-11 02:38 | 小説 | Comments(0)
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