藤沢周平作「孤剣・用心棒日月抄」を読みました。

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北国の小藩で起きたお家騒動に伴って、脱藩して藩からの刺客に追われていた青
江又八郎ですが、騒動も一段落してめでたく帰藩した、と思いきや再び騒動に巻
き込まれて再び脱藩するはめになります。

そもそもは、第1作、用心棒日月抄の最後に現れた、悪の大富中老の血縁である
剣豪大富静馬が、大富中老の手紙や日記、連判状を持って江戸に逃走したことに
始まります。反大富派の間宮中老は、その書類が公儀に渡れば藩はお取り潰しに
なる、と又八郎に告げ、その書類を取り戻すよう要請します。その書類には、藩
に古くから巣食ってしばしば政治の裏側で暗躍する殿様の血縁の名前が書いてあ
るかもしれないというのです。

その書類がなければ藩のお家騒動は決着しないばかりか、旧大富勢力が再び台頭
し、又八郎の立場も危うくなる、と脅すのです。しかも江戸での費えは自分で稼
げ、というのです。やむなく新妻と母親を故郷に残して脱藩した又八郎でありま
した。

再び口入れ屋の元で仕事にありつきながら、懸命に静馬を探すのですが、それを
助けてくれるのが、前作の最後に出てきた、嗅ぎ足組の女忍者佐知でした。敵で
あるかと思われた彼女は、又八郎に命を助けられた礼を言い、探索の手助けを嗅
ぎ足組で行う、と約束します。佐知とともに静馬を追う又八郎でしたが、仕事も
せねばならず間宮中老には金ももらえず書類をせっつかれるなど大変な苦労をし
ながら次第に静馬を追いつめて行きます。

ついに大富派の剣豪と手を結んだ又八郎は、静馬の周りで暗躍する公儀隠密との
戦いに臨み、これを退けます。ついに静馬と対峙する又八郎は。。。。最後に佐
知とのご褒美のような邂逅が待っていました。憎めない大酒飲みの用心棒仲間、
細谷や、病身の妻を気遣いながら、自分の仇を探す同じ用心棒仲間の米坂など、
多彩な登場人物に彩られたどこかユーモラスでありながら読者をぐいぐい引っ張
る設定の見事さは、さすがに本邦一二を争う書き手の作品です。おすすめです。



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by rodolfo1 | 2017-04-14 02:55 | Comments(0)
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