櫛木理宇作「死刑にいたる病」を読みました。

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ホラーサスペンスの名手櫛木先生の作品です。これはおっそろしい小説を書かれ
たものだと思いました。本当に怖い小説でした。

主人公、筧井雅也は、元優等生ながら、進学高に入学して落ちこぼれ、今は偏差
値の低い大学に辛うじて入学し、そこでの卒業を前に行き場を失っています。そ
んな彼の元に一通の手紙が届きます。差出人は、逮捕されて今は死刑を待つ身の
稀代のシリアルキラー榛村大和でした。

元は人気のパン屋の店主であり、雅也も足しげく通っていたのですが、どうも大
はそれを覚えていた模様です。何故か面会に向かう雅也に、大和は不思議な事
を伝えます。立件された9件の殺人事件の内、最後の殺人だけは自分はやっていな
いと言うのです。その最後の事件の調査を依頼された雅也は、大和の担当弁護士
の調査員と言う身分を借りて、大和の事件を調べ始め、大和の生い立ちを知ります。

大和は元は新井大和と言い、性的にも生活的にも全くだらしない母親の元で育
ち、元養父らに虐待され、少女と少年を巡る二件の残虐な犯罪を犯して母親の
葬儀の後に自首します。少年刑務所から出所後、人権活動家の女性の養子となり
名を榛村に改めますが、養母の死後再び凶悪な犯罪に手を染めます。

雅也は元教師、元保護司、親属、同級生、元養父らを尋ね回り、大和の過去を調
べますが、人によって大和の評価はばらばらです。虐待と過酷な暮らしの犠牲者
だと言う人もいれば、全くの犯罪者だと言う人もいます。彼が少年を虐待してい
る所を目撃しながら通報しなかった関係者もいます。そして雅也は調査を続ける
うちに、自らの内面に鬱屈しているものに気付き、次第に大和に傾倒していきます。

そして調査が進む中、雅也の母親と大和との意外な接点が浮かび、母親が雅也の
家庭で完全に浮き上がっていた理由も察せられ、雅也は驚きの結論に達するので
すが、大和はさらに強かでした。小説の最後はどんでん返しに続くどんでん返し
の連続で息もつかせません。真の巨悪、と言うものに対して櫛木先生は鋭く迫り
ます。この小説は本当に怖い小説でした。おすすめです。





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by rodolfo1 | 2018-03-22 02:45 | 小説 | Comments(0)
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