宇江佐真理作「昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話」を読みました。

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宇江佐真理作「昨日のまこと、今日のうそ 髪結い伊三次捕物余話」を読みまし
た。再読を始めた宇江佐先生シリーズのレビューその2であります。

第一話。共に見る夢。同心不破友之進家の師走は、孫息子が生まれたためにてん
やわんやです。祝い物がしこたま届きますが、妻のいなみは、いつも礼物を欠か
さない同心岩瀬から何の音沙汰もないのを不思議に思っています。実は岩瀬家の
奥方は重病に臥せっていたのです。その岩瀬から友之進は相談を持ちかけられま
す。岩瀬が出入りしている大名の若君が八丁堀の銭湯の女湯に熱心に通うように
なって困っていると言うのです。不破と岩瀬は一計を案じるのですが。。。。

第二話。指のささくれ。正月明けの八丁堀では、行方不明の子供の事で皆頭を悩
ませています。子供は母親の所に入り込んだ男がどうにかしたのではないかと危
惧されています。一方伊三次の弟子、九兵衛は、大店魚佐の一人娘との結婚話に
悩んでいます。その娘おてん以外にも気になる娘が現れたのです。娘はおてんと
違い、全く普通の娘です。結婚話を渋る九兵衛におてんは、他の縁談を受ける、
と言い、九兵衛を袖にします。その九兵衛が蒸発します。九兵衛は一人悶々とし
ています。その行くさきでふと出会った親子とは。。。。その結果、おてんとの
間にも意外な展開が。。。

第三話。昨日のまこと、今日のうそ。友之進の息子で同心の龍之進は、最近同心
仕事に漠たる不満を抱えています。お裁きがあまりに画一的すぎると思っている
のです。その頃、松前藩の元側室出会った三省院は、友之進の娘、茜と共に念仏
に励んでいました。その二人の元に、お世継ぎにして茜を気に入っている良昌が
寝込んでいると言う知らせが届くのです。二人は見舞いに出かけ、茜は良昌にあ
る言質を取られ、冷や汗をかくのですが、その良昌が危篤に陥り、亡くなりま
す。それに対して九兵衛はおてんとの縁組を決めるのです。最後に表題の大元で
ある正岡子規の短歌が紹介されてこの章は終わります。

第四話。花紺青。伊三次の息子、伊与太は、歌川国直の元で修行を続けています
が、最近新しい弟子が入ります。新弟子は絵がうまいのを見込まれて入った男
で、鍾馗の絵が得意です。腕に覚えのある新弟子は、伊与太に腕が無いことをあ
けすけに話題にします。しかも彼は、国直に雅号をもらい、武者絵の仕事が入っ
た、と伊与太に告げます。面白く無い伊与太は、菓子を土産に葛飾北斎を訪ね、
花紺青と言う南蛮渡りの絵の具を見せられます。北斎は伊与太の不満の内容がよ
くわかっています。あまつさえ伊与太に結髪亭北与と言う雅号をくれ、絵師は才
能では無い。とにかく描きたいものを描くことだ、とアドバイスされ、気分を直
します。第四話は、九兵衛とおてんの豪華な結婚式で幕を引かれます。

第五話。空蝉。龍之進と緑川鉈五郎は内与力の山村寛左から呼び出されます。当
時猖獗を極めていた盗賊団に、奉行所の内通者がいる疑いがある、と言われ、内
偵を命じられます。内偵を行う龍之進と鉈五郎でしたが、山村は他の同心たちに
も同じような命令を下しています。釈然としない二人でありましたが、おてんの
実家、魚佐が盗賊に狙われている疑いが持たれ、事実盗賊が襲ってきます。それ
を解決したのは意外な人物でした。その結果。。。。

第六話。汝言うなかれ。珍しくこの章は捕物仕立てです。漬物屋、村田屋のおと
よは主人の信助との間にある秘密を抱えています。漬物屋の一人娘だったおとよ
は、その当時手代だった信助に入り婿に入るよう頼みます。ところが信助はそれ
を断り、自分には秘密があるから婿にはなれないと言います。決して秘密は漏ら
さないと誓うおとよに信助は秘密を打ち明けます。昔人殺しをしたことがある、
と言うのです。口を噤んで信助を婿にもらったおとよは幸せに暮らしているので
すが、漠たる不安があります。信助は、青物問屋の金助と仲が悪く、事毎に対立
していました。その金助が溺れて亡くなります。亡くなり方はいかにも不自然な
ものでした。二度あることは三度ある。だんだん心配になってきたおとよでした
が、村田屋に伊三次が髪結いとして出入りしていたのです。村田屋に別の岡っ引
きが聞き込みに来た際に、伊三次が口をきいてくれます。ところで、金助を殺し
たのは別の男でした。ところが伊三次が現れて、全く別件の事件について信助を
問いただすのです。

宇江佐先生よろしいですねえ。あと三冊で終わりというのが何とも残念です。



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by rodolfo1 | 2018-05-09 02:19 | 小説 | Comments(0)
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