葉真中顕作「政治的に正しい警察小説」を読みました。


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いやいや。なんでもブラックユーモア小説集だと言う謳い文句だったのですが、
これはひどい出来でした。短編6編から成ります。

第一編、秘密の海。小説の始まりは小児虐待です。初めから虐待されていた訳で
はありません。海に連れて行ってもらった楽しい思い出を持っています。一転、
場面は既に子持ちで結婚もしている主人公に移ります。彼は病院に見舞いに来て
います。病名は末期胃癌でした。 次に夫婦の出会いの話になります。二人はネッ
トで知り合いました。お互いにネグレクトされて育った関係で、二人の仲は急速
に進展し、結婚します。悲しい結末かと思いきや、場面は一転し。。。この編は
まだ小説らしい出来栄えです。

第二編、神を殺した男。主人公は元棋士で、今は将棋関係の文章を書いて生計を
立てています。今度の仕事は、20年前に亡くなった無敵の棋士の話を書く事でし
た。実は彼はライバル関係にあった別の棋士に殺されたのです。彼らは実生活で
は結構仲良くしておりました。彼らの周辺を洗う内に判明した驚きの真相とは。

かなり話に無理があります。何故殺したか、と言う動機が語られますが、あまり
に荒唐無稽で到底共感出来ない話でした。

第三編、推定冤罪。漫画家の主人公は、同僚の漫画家の冤罪裁判で同僚の支援を
行い、無事無罪判決を勝ち取ります。折柄主人公は、元雇っていたアシスタント
からストーカーされていました。同僚の漫画家は、刑事の強引な自白強要に会い
、犯行は事実だと洗脳されています。何が事実か、を思い惑う同僚を前にして、
主人公自らもストーカーと思っていたアシスタントは実は。。。
あまりに論理が飛躍しすぎていて到底共感不可能でした。

第四編、リビング・ウィル。突然事故で植物状態になった主人公を巡って、家族
の間で尊厳死の可否が取り沙汰されます。結果植物状態のまま生かされる主人公
でありましたが、数年後、孫娘達の努力で、生前残していたリビング・ウィルが
発見され、呼吸器を取り外す事になりました。ところが主人公は実は。。。。
アイディアだけが先行した小説ですね。浅い思いつきを小説にしたからと言って
誰に評価されるものでもないと思います。

第五編、カレーの女神様。舞台は新規開店したカレーショップです。そこに訪れ
るのが主人公でした。主人公は幼い時に母親に出奔されますが、母親が最後に作
ってくれたカレーの味が忘れられません。たまたま訪れたこの店で彼はその思い
出の味に再開します。それを店主に語り、それに対して店主は。。。
トリックらしいものがめちゃくちゃです。謎というよりスラップスティックです
ね。到底受け入れられませんでした。

第六編、表題作。小説家ハマナコは、ポリティカル・コレクトネスをコンセプト
にした警察小説を書くようフリーの編集者に依頼されます。調子良く第一稿を書
き上げたハマナコでしたが、コテンパンに否定されます。差別と偏見の塊だと言
うのです。編集者の言うままに何度も改稿するのですが、一向OKは貰えず、次第
にハマナコ先生は偏向して行き、ついに書き上げた小説とは。。。

とても名のある小説家が書いたものとは信じられません。どこかの学生さんが思
いついて書いたような小説です。到底読むに値しない代物でした。こんなものを
評価する人がいる事が信じられませんでした。

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by rodolfo1 | 2018-06-11 02:19 | 小説 | Comments(0)
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