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東野圭吾作「沈黙のパレード」を読みました。

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東野圭吾作「沈黙のパレード」を読みました。ガリレオシリーズ最新作です。ガリレオシリーズではありますが、今回湯川先生はいつもの物理実験をしません。単なる謎解きミステリになっています。

静岡県菊野にある食堂なみきやの長女が行方不明になってからもう三年間が経過しています。並木夫婦と次女の夏美はじっと長女の帰りを待っています。長女の並木佐織は大変歌のうまい子でした。近所に住む資産家の新倉夫妻は、そんな佐織を歌手としてデビューさせようと無料でレッスンを引き受けていました。そこへ静岡県警から連絡が入ります。同じ静岡のとあるゴミ屋敷が放火され、その焼け跡から死んだ住人とともに佐織の体が発見されたと言うのです。

捜査線上に死んだ住人の息子が浮かび上がります。その男、蓮沼は東京で行方不明になった本橋優奈ちゃん殺人事件の被告となった男です。優奈ちゃんの母親は責任を感じてか飛び降り自殺してしまいます。状況証拠から蓮沼の有罪は間違いないと思われました。しかし蓮沼は犯行を全否定し、以後完全黙秘します。驚いた事に判決は無罪、蓮沼は釈放され、賠償金まで手に入れました。

事件はガリレオシリーズの常連、草薙と内海刑事二人に託されます。草薙は優奈ちゃん事件の捜査にも携わっていました。内海は草薙に、菊野と言えば、あの物理学者湯川が住んでいる、と言い出します。アメリカへ留学していた湯川は帰国し、教授として菊野で働いていたのです。

折しも菊野では、年一回の有名なイベント、キクノ・ストーリー・パレードというコスプレ日本一を決めるパレードが開催されようとしていました。草薙と内海は菊野を訪れ、並木家を訪ねます。そこで佐織には高垣、という恋人が居た事を耳にします。草薙達は蓮沼を尋問しますが、やはり蓮沼はしたたかで、拘留を解かれます。

草薙は湯川を訪ねます。蓮沼事件の事を相談すると、珍しく湯川は興味を示します。湯川自ら食堂なみきやに足を運び、常連であった食品工場の社長戸島や、新倉夫妻、再び店に顔を出し始めた高垣らと知り合い、自らも常連となっていきました。

その頃、蓮沼の足取りを追っていた草薙達は、蓮沼が以前勤めていた廃品回収業者の倉庫を訪れ、そこに勤務し、かつその倉庫に住んでいた増村という男の元を訪問していたことを突き止めます。しかも蓮沼はその倉庫に同居しはじめたと言うのです。増村は四十年ほど前に傷害致死の前科がありました。

その頃、戸島が新倉の元を訪れます。用件は蓮沼についてでした。戸島は幼馴染の並木に頼まれ、どうせ今回も罰せられない蓮沼を自分らで罰しようと計画している。ついては手を貸せ、と持ちかけます。戸島は高垣にも声を掛けました。高垣は加担する、と申し出ます。

いよいよパレードの日になりました。湯川は並木家の夏美とパレードを見物していました。そんな中、夏美は両親に呼び出されます。客が腹痛を訴え、並木夫婦は客に付き添って病院に行くので店に戻れと言うのです。パレードは無事終了して、食堂には常連客や、パレード実行委員長の宮沢麻耶が現れ、パレードの余韻を味わっています。そこへ思わぬ知らせが舞い込みます。蓮沼が住んでいた倉庫で死んだ、と言うのです。蓮沼の死因は不明。草薙と内海達は、関係者のアリバイを探りますが、ほぼ全員がアリバイを持っていました。

湯川たちは一つ一つのトリックを暴いていき、ついに事件の驚くべき全貌が。。。。。。

ミステリとしては大変良くできていたと思います。中山七里ばりのどんでん返しがあるあたりはかなり中山先生を意識しておられたのかもしれません。もうちょっと湯川が湯川らしければもっと盛り上がったとは思います。やはりあの湯川的偏屈さと物理実験はあって欲しかったと思いました。





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by rodolfo1 | 2019-02-05 02:47 | 小説 | Comments(0)
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