2018年 07月 04日 ( 1 )

黒川博行作「勁草」を読みました。

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黒川博行作「勁草」を読みました。
橋岡は名簿屋の高城に雇われています。彼の仕事はオレ詐欺です。彼は受け子を
手配して、高城の名簿に基づいて掛け子が電話で釣った被害者から金を巻き上げ
て高城のところに持って行きます。最近は銀行などもそれなりに対策し、警戒さ
れてもいるのですが、やはり引っかかる高齢者がたくさんいるのです。結果、高
城の金庫には金が唸っています。

一方大阪府警の佐竹と湯川は、詐欺である事に気がついた被害者から通報を受
け、受け子を張っていました。しかし寸前で刑事の張り込みに気づいた橋岡に回
避され、張り込みは失敗してしまいます。しかし、地道な捜査が次第に実を結
び、橋岡の正体が明らかにされていきます。

その頃橋岡は、同じ高城の手下で半グレの矢代と名簿屋の調査活動をしていま
す。詐欺にひっかけるべく、金のありそうなターゲットの身辺調査をするので
す。ところが矢代は賭博中毒です。金もないのにヤクザの賭場に出入りし、危険
な借金を多額作ります。しかもそれをたまたま同伴していた橋岡と連名で借りた
のです。当然橋岡にも返金の義務が発生します。

佐竹と湯川は橋岡らの内偵を進めます。本籍地などから知り合いを当たり、つい
に高城の存在を嗅ぎ当てます。高城を尾行し、あわやオレ詐欺の現場で逮捕出来
るかと思われましたが、高城は追跡をかわします。しかし高城の身の上は大体府
警に把握されています。すんでの所で高城が奪取しようとした金をくい止め、逆
にそれを取りに来る高城を追い詰めようと図ります。

二進も三進もいかなくなった橋岡と矢代は、ついに高城に金を融通してもらおう
とします。しかし取りつく島もない態度の高城に逆上した矢代は、高城を絞め殺
してしまうのです。二人は高城を人知れず埋めに行き、高城がため込んだ資金を
奪おうと画策するのですが、銀行の壁は厚く、通帳と印鑑だけでは多額の金をお
ろせません。悪あがきする二人の前に、高城の共同経営者の女性や、ケツモチの
やくざが現れ、音信不通の高城の行方を二人に糺します。次第に追い詰められた
二人は、再び支離滅裂な行動に及び、次第に迫ってくる警察の追求とともに、破
滅の道へと突き進んで行きます。

あらすじだけをたどるとよくあるノワール小説でありますが、黒川先生の練達の
筆にかかると物語は生き生きと動き出します。犯罪者たちや刑事のキャラがみな
良く立っており、物語に厚みを与えています。オレ詐欺の内面もよく取材されて
おり、並の犯罪小説とは一線を画する出来栄えです。衝撃作、後妻業の驚きはあ
りませんが、力作であると思われました。


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by rodolfo1 | 2018-07-04 02:33 | 小説 | Comments(0)