2018年 09月 03日 ( 1 )

中脇初枝作「魚のように」を読みました。

中脇初枝作「魚のように」を読みました。
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作者が17歳のときにこの作品を書いて第二回坊ちゃん文学賞を取り、小説家デビ
ューしたということです。ふたつの短編より成り、どちらも親に愛される片方と
愛されない片方を描いた兄弟姉妹の話です。

第1作では可愛がられている姉が出奔し、それを知った可愛がられていない弟は
出し、放浪します。第2作では可愛がられている姉は鬱病と摂食障害に悩んで
り、しばしば家族に忘れ去られる妹は、家族のためになにごとかを為そうと
し、梅の枝を取ってきたり梅の盆栽を捨てたり、悪夢の話をしたりといろいろ行
動します。最後は盆栽を持って夜中に徘徊し、自動販売機を襲ったり老人を襲撃
したりします。盗んだバイクで走りだす、というフレーズを思わせる青春小説に
仕上がっています。

流麗な文章は、持って産まれた才能なのですね。この作者が後年「世界の果ての子供たち」まで昇華した、という事実に震えます。幾多の若い才能が、たまたま
芥川賞などの有名賞を受賞した後に鳴かず飛ばずで消えてしまった事実を見るに
つけ、この作家さんがどうやってここまで育ったのかを是非知りたいと思いまし
た。この小説には大した価値は無いと思いますが、この作家さんのその後の精進
に敬意を表したいと思います。


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by rodolfo1 | 2018-09-03 02:26 | Comments(0)