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葉室麟作「あおなり道場始末」を読みました。

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いつも疲れると、時代小説を読みたくなります。どうも現代小説というものは肩
が凝ります。いじめの話であるとか、親子関係のもめごとであるとか、苦しい生
活のことであるとか。正直うんざりする小説がまことに多い。葉室先生の本は何
冊か読みましたが、あまりに堅苦しくて、その後遠ざかっておりました。この小
説もずいぶん前に刊行されたのですが、紹介された粗筋は大変良かったのです
が、どなたもレビューされないのでためらっていたわけです。ところが最近好意
的なレビューを拝見しまして、ついに購入しました。結果なかなか良かったでし
た。

以前の葉室先生の著作に比べると、圧倒的に軽いです。しかもコミカルです。楽
しい本であります。ほんの3時間ほどで読めてしまいます。それが不満と言えば
不満かもしれません。もうちょっと読ませてもらいたかった。

さて、小説ですが、九州、豊後、坪内藩4万8千石の城下町に神妙活殺流の道場が
ありました。道場主は青鳴一兵衛と言いましたが、去年の5月に亡くなり、間も
く一周忌を迎えます。道場は長男の権平が継いだのですが、この権平の出来が
くありません。風采も上がらず、昼行燈の異名がつけられています。剣の腕も
まいちで、ぽんぽん弟子に打たれてしまい、陰で弟子たちから青瓢箪とかうら
りとか呼ばれ、いつの間にかふたつを合わせて「あおなり」と呼ばれるように
りました。

当然弟子はいなくなります。さて、この道場にはもう二人の兄弟が居ます。一人
は鬼姫と呼ばれる美貌の剣の遣い手です。男装を好む妹です。もう一人は、弟で
す。儒学の天才で、あたかも菅原道真公を思わせる、と師に言われています。し
かしこましゃくれた口をきくため、天神小僧とも揶揄されています。

弟子がいなくなって、生活に困った兄弟たちは、ついに城下の剣術道場へ道場破
りに出向く事で、生活を切り開こうとするのですが、当然権平にそんな腕があろ
うはずもありません。ただ、権平は突然言い出します。「父の死には不審があ
る。父の頭には亡くなった時、たしかに打たれた傷があった。その謎を解明する
べく当時同席していた5人の剣術道場主と立ち会う。」

妹と弟はそれを止めようとするのですが、権平は言い出します。「自分は弱いが
自分には秘剣がある。これを使えば必ず勝てる。」権平はその秘剣を使って苦し
い生活を切り開き、かつ父親の死の秘密に迫って行くのです。兄弟たちや、その
他の登場人物も大変魅力的で良く造形されています。いわゆるキャラが良く立っ
ています。秘密は父親の死だけではなく、兄弟たちにも存在します。最後はハッ
ピーエンドです。是非続編を希望します。



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by rodolfo1 | 2017-02-21 02:32 | 小説 | Comments(0)